あのとき見た彼女の背中をぼくは忘れない。

「あのとき見た彼女の背中をぼくは忘れない。」

けっきょく「繋がろう!」と話していたFacebook上でも彼女を探し出すことができず、諦めることにした。

バンコクの空港で出会ったルアンナ。ぼくのiPhoneのメッセージにはまだ彼女自身が打ち込んでくれたアルファベットの名前が残っている・・・。カオサンロードで夜を過ごした5日間、毎日彼女を探した。もう1度会ってお礼をしたい、話したいと思っていた。その他大勢のひとのなかには、毎日同じように見かけるひとがたくさんいたのに、彼女は1度もぼくの目の前には現れなかった。彼女が泊まるゲストハウスには訪れないと決めていた。偶然の再会で感じる感動みたいなものに触れたいと勝手に思っていたからだ。

ロマンチックでくさい話になるが、本当は彼女は存在しないのではないか?なんて勝手に想像を膨らませてみる。彼女はただぼくの道しるべになるために現れたんじゃないかと。ぼくはバンコクというものに少し恐怖感があった。これは別になんてことない。ビビリなぼくは、見知らぬ土地へ足を踏み入れる時にはいくばくの恐怖心を持っている。バンコクのドンムアン空港に降り立ち税関を通り抜けるまでの間、必死に日本人を探しているダサい自分がいた。

けっきょく「本当の危機が訪れない限り、救いの手はやってこない」という自分自身の考え通り、日本人を見つけることはなく税関を通り抜け、黄色の大きなバックパックを背負った。とりあえずタクシー代分のお金を両替し、ウロウロと空港内を歩いていた。もう同じ便に乗っていた乗客はほとんどいなくなり、「ひとりでカオサンロードまで行けるのか?」なんて27歳ながら不安を感じていた。その時、両替所にルアンナを見た。オレンジ色の大きなバックパックを背負っている。彼女しかいないと思って、両替所の隣で彼女のやりとりが終わるのを待ち伏せする。しかし、ぼくがカバンを整理している間に彼女は作業を終えて、ぼくの前を通り抜けてタクシー乗り場へ向かっていた。

足早に追いかける。周りを見渡すと彼女以外にバックパッカーらしきひとは見当たらない。勇気を出して、いやそんなに勇気を出したわけではないが、話しかけてみる。「Hi,Are you going to Khaosan ??」「Yeah,do we share ??」・・・そこから自然と会話が生まれた。彼女はぼくの1つ下で26歳イギリス出身で、バンコクは2回目。3ヶ月ほど旅をする予定でニュージーランドからやってきた。このあとはパラオに行こうと予定していてビザの申請をしないといけないということだった。乗り継ぎのためのシンガポールに着いたフライトも同じだったらしく、「どこにいたんだよー!?」なんて話にもなる。タクシーを乗るまでの30分、一緒に乗ってからの30分から1時間弱だろうか、たくさん会話をした。

カオサンロードに到着すると、彼女はお決まりのゲストハウスを予約しているということで歩き出す。たぶんぼくもそっちの方向だから、ということで着いていく。彼女の泊まるゲストハウスの受付に「彼が予約したゲストハウスを探しているんだけどわかる?名前は・・・」と聞いてくれる。そして「もしわからなかったらここに帰っておいで!」「ありがとう!」それが最後の会話だった。ぼくは彼女を晩御飯に誘えなかった。チャンスがあったにもかかわらず。タクシーの中で今日このあとの予定の話になった。どこに泊まるのか?晩御飯はなにが食べたいか?カオサンでのオススメは?・・・その時間も会話は盛り上がっていた。でもぼくは勇気がなくて誘えなかった。今でもすごく後悔している。今回の旅での唯一の後悔かもしれない。

もっと彼女を知りたかった。初めての旅で出会った彼女ともっと話したかった。ぼくのつたない英語を褒めてくれるイギリス人の彼女と旅の話や人生の話がしたかった。でもそんな希望は自分の一言を伝える勇気のなさによって儚く消えていった。それでも彼女のおかげで、まるで知っている町かのように自然とカオサンロードまでたどり着くことができた。ただ、ありがとうとだけでもいいから伝えたい。またドンムアン空港にひとりで降り立つ時には、彼女のあの背中をきっと探してしまう気がする。

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